筋トレはどこまで追い込む?目的別の強度の目安と「前回より少しだけ」の伸ばし方

「筋トレはヘトヘトになるまで追い込まないと意味がない?」「重さはどんどん上げた方がいい?」。頑張り屋の方ほど、トレーニングの強度を上げすぎてしまう傾向があります。
実は、体を引き締めたい・痩せたい場合は、強度を上げすぎない方がうまくいきやすいです。筋肉を大きくしたい場合も、大切なのは毎回限界まで追い込むことではなく、前回の自分より少しだけ上回ることです。
- ボディライン作り・ダイエットなら、15〜20回できる重さで「やりきる手前」まででOK。
- 翌日動けなくなるほどの追い込みは、目的にかかわらずおすすめしない。
- バルクアップは「重量×回数」の合計を前回より少し増やすことを目指す。
ダイエット・ボディライン作りは「やりきる手前」まで
体を引き締めたい、きれいなボディラインを作りたいという目的なら、15〜20回ほど繰り返せる重さを選び、「もう限界」の少し手前で終えるくらいで十分です。
研究をまとめた分析では、軽めの重さで回数を多くこなす方法と、重い重さで回数を少なくする方法で、筋肉の増え方には大きな差がなかったと報告されています(最大筋力の伸びは重い方が有利)。(Schoenfeld et al., 2017)つまり、無理に重い重量を扱わなくても、体づくりの効果は十分に得られます。
強度を上げすぎると、かえって痩せにくくなることも
強すぎるトレーニングは、筋肉や関節へのダメージが大きくなり、回復にも時間がかかります。回復には十分な栄養と休養が必要ですが、ダイエット中は食事量を抑えているため、回復が追いつきにくいのです。
回復しきらないまま次のトレーニングを重ねると、疲労やストレスがたまり、睡眠や食欲が乱れたり、トレーニングの質が落ちたりしやすくなります。心も体も追い込みすぎないことが、ダイエットを続けるうえで大切です。
翌日動けなくなるほどの追い込みはやめよう
これはバルクアップを目指す方にも共通です。次の日に動けなくなるほどの追い込みは、ほとんどの方にとって効率がよくありません。
もちろん個人差はあり、回復力が高く、追い込んだ分だけ伸びる体質の方もいます(体質の違いは、以前のコラムで紹介した「ソマトタイプ」も参考になります)。ただ、多くの方にとっては、次にお伝えする「少しずつ伸ばす」方法の方が安全で、結果にもつながりやすいです。

バルクアップは「前回より少しだけ」を積み重ねる
筋肉を大きくするには、体に少しずつ大きな負荷をかけていく必要があります。これを漸進性過負荷(ぜんしんせいかふか)の原則といい、トレーニングの基本的な考え方です。(ACSM, 2009)
とはいえ、いきなり重量を大きく上げる必要はありません。目安は、前回のトレーニングを100としたら、今回は101〜105くらいを目指すイメージです。
ここで役立つのが、「重量×回数」の合計(トレーニングボリューム)で考える方法です。
| 例(ラットプルダウン) | 重量×回数 | 合計 |
|---|---|---|
| 前回 | 50kg × 10回 | 500kg |
| 回数を1回増やす | 50kg × 11回 | 550kg |
| 重さを10kg上げる | 60kg × 9回 | 540kg |
| 重さを下げて回数を増やす | 45kg × 12回 | 540kg |
このように、重さを上げなくても、回数を1回増やすだけで前回より負荷を高められます。重さを一気に上げるより、まず回数を増やしていくのがおすすめです。重さを上げても8〜12回くらいをキープできそうだと感じたら、そこで少し重量を上げてみましょう。
研究でも、週あたりのトレーニングボリュームが多いほど筋肉が増えやすい傾向が示されています。(Schoenfeld et al., 2017)ただし、これは一般の方の体づくりの考え方です。競技の選手は、目的に応じてさらに細かくトレーニングを組み立てる必要があるため、この限りではありません。
大切なのは「頻度」より「1回の質」
強度と同じくらい大切なのが、毎回のトレーニングの質です。たとえば、前回が101だったのに、疲れていて今日は95しか出せなかったとします。その95を新しい基準にしてまた101を目指す……を繰り返していると、行ったり来たりで体はなかなか変わりません。
疲れているときは無理にこなすより休み、調子のよい日に質の高いトレーニングをする。焦らず、しっかり休みをとりながら続けることが、結果への一番の近道です。
まとめ:強さより「少しずつ」と「回復」
- ダイエット・ボディライン作りは、15〜20回できる重さで「やりきる手前」まで。
- 翌日動けなくなるほどの追い込みは避ける。
- バルクアップは「重量×回数」を前回より少し上回ることを目指し、まず回数から増やす。
- 調子の悪い日は休み、毎回の質を大切にする。
参考文献・出典
- Schoenfeld et al.:Strength and Hypertrophy Adaptations Between Low- vs. High-Load Resistance Training(2017)
- American College of Sports Medicine:Progression models in resistance training for healthy adults(2009)
- Schoenfeld et al.:Dose-response relationship between weekly resistance training volume and increases in muscle mass(2017)

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